ゆーら博物館〜アトリエ・俺屍ファンサイト〜

*あらすじ*
息絶えたアイゼル姫の前に現れたのは、騎士ダグラス
探し求めてきた夢の姫君と思い、動かぬアイゼル姫に口づけようとした(おい)騎士ダグラスを制する、ノルディス王子
名誉と誇りと意地をかけて決闘を始めようとしたふたりの若者の間に割り込むもうひとりの姫君、エルフィール
さて、我らがアイゼル姫の運命やいかにっ!

 

エリー・顔 「『...夢?』
まっすぐにエルフィール姫を見つめるダグラスに、ノルディス王子は怪訝そうに問い返しました。
エルフィール姫は、騎士ダグラスを背後にかばい、ノルディス王子に訴えます。
『兄上、何があったか知りませんが、この人に剣を向けるのは今すぐお止めください!』
ノルディス・顔 「『エリー! 君がどうしてここに! 君はイバラのしげる離宮に閉じこめられ、中から出ることも外から入ることもできなかったはず。それにダグラス、夢がどうこうとかいうのはいったい何の話だ?!』
すっかり混乱しているノルディス王子。
そこに割り込んできたのは、のんきそうな女性の声でした。
  『ん〜、やっぱりそれは、あたしが説明するのかな?』
マリー・顔 「なんとまあ、空に女の人が浮かんでいます。
ホウキに乗ってひらりと飛んできて、一同の真ん中に舞い降りたのは、まだ若い女魔法使いでした。
  『この辺を散歩してたら、イバラに囲まれた変なお城を見つけちゃって、気になって入ってみたら、その子が具合悪そうな顔して寝てたのよ』
彼女はエルフィール姫を示して言いました。
マリー・顔 「『入ってみたらって、そんな簡単に』
ノルディス王子の言葉に、彼女はこともなげに答えます。
  『入口の辺りのイバラを、ちょっと焼いたら簡単じゃない。でね、この子を治療したら、なんでももうすぐ騎士様の迎えが来るんだって。そんな夢を何度も見てたとか。...あなたが、この子が待ってたお相手? 結構、男前じゃない』
言われて、騎士ダグラスとエルフィール姫は顔を赤らめました。
エリー・顔 「『えっと、その...ダグラス、ですよね。お名前』
エルフィール姫は、おずおずと言いました。
  『あ、ああ...そう、ですが』
騎士ダグラスも、すっかり落ち着かぬ様子で答えます。
  『呪いで閉じこめられて眠らされ、苦しい夢の合間、あなたが助けに来てくれる夢を何度も見ました。...実際には、助けられる前にこうして出てきてしまいましたけれど』
ダグラス・顔 「『俺...いえ私も、何度もあなたのことを夢に見ました。正直、お会いするまでははっきり顔が分からなかったけれど、今はもう分かります。私の夢に出てきたのは、エルフィール姫。あなたです。ともかく、ご無事でよかった。...我が手で助けられなかったのが、少し...残念ですが』
などと語り合っている二人に構わず、妖精さんたちが声をあげました。
  『それより、早くボクらのお姉さんを助けてよぉ!!!』
ノルディス・顔 「ノルディス王子は、急いでアイゼル姫のそばに膝をつきました。
  『そうだった、僕は姫を助けるために来たのに!』
ところが魔法使いの女は、慌てる王子を不思議そうに見やって、言いました。
  『ああ、大丈夫よ、その子。多分、もうすぐ息を吹き返すわ』
アイゼル・顔 「彼女の言葉通り、なんたる不可思議!! 死んでいるとしか思えないほど冷たく青ざめたアイゼル姫の肌に、みるみる赤みが差してきました。そして、ふう、と大きく息を吐き、吸い込んで。
  『ん...??』
アイゼル姫が、そっと目を開いたのです!!
アイゼル・顔 「『あら? 私は一体?』
ぼんやりと呟くアイゼル姫。
  『姫!』
  『お姉さ〜ん!!』
取り囲む妖精さんたち、そして熱心に見つめる若者の顔を、アイゼル姫は見返します。
  『あなたは、ノルディス王子...ですね? どうしてこのような所に?』
ノルディス・顔 「『よかった...ご無事で...!』
感極まった様子でノルディス王子は語りかけます。
  『あのね、お姉さんが倒れてて、ボクたち、王子さまに治してもらおうって思って呼んだんだよ』
妖精さんたちが口々に説明しようとします。
アイゼル・顔 「『倒れた...それで、王子御自らが私のために?』
  『いえ、僕が治したわけではないのですが。...でも、こうしてお会いできてよかった。あなたが倒れたと報せを聞いたときは、胸が潰れる思いをしたものですから』
姫の手を取り、王子は熱っぽく語りかけます。
  『王子...あなたにそれほどに心配していただいたなんて...。私、幸せです』
マリー・顔 「手を取り合い、語り合う二組の男女を満足げに見て、魔法使いの女は言いました。
  『なんだかよくわかんないけど、とにかく好きな人同士出会えて、一件落着って感じ?』
エルフィール姫が言いました。
  『ありがとうございます。あの、まだお名前を伺っていなかったのですが、よろしければ』
女はにっこり微笑んで言いました。
  『あたし? あたしはマリー。白魔女のマリーよ』
ヘルミーナ・顔 「そのころ、黒魔女の工房では。
  『ああ、なんてこと。レシピを間違えてしまった! これは“お迎えの薬”ではなく、“死にまねの薬”だわ!!』
無念そうに叫ぶ王妃──黒魔女の姿がありましたとさ。 おわり。