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4コマのアトリエ

アトリエシリーズの小話を4コマ形式で書いてみよう!というコーナーです。

*ここから始まった(10題)*

あの微笑みが、すべての始まりだったのかもしれない。

蜂蜜色のつややかな髪、白磁の肌、若草の瞳。天使を具現化したようなかの少女は、あの日、俺を目にして物怖じする風もなく、にこりと微笑んだ。

身の丈に合わぬ望みを抱いた俺は、空飛べぬ地虫のように這いつくばってあがく日々を送り、そして疲れて荒み、悪事に手を染めて。

俺はますます天使に近づけなくなった。天使から遠のいていってしまう自分の姿を見つめようとさえしなかった。

今はそんな自分が愚かだったと思う。こんな愚かな自分など、なかったことに出来たなら…。

しかし、過去を否定することは出来ない。

それは、あの彼女の微笑みをさえ、否定することだから。

過去をなかったことには出来ない。

ただ、今から出来ることを精一杯しよう。

たとえ報われなくても…彼女のあの若草色の目をまっすぐに見て恥じずにいられるなら、それだけでも俺にとっては救いではないか。

さる人の独白です。誰でしょう?

2004.10.10 byゆーら

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