「おめでとう、もちろん余裕の合格よ」
イングリド先生がそう言ってくれたとき、あたしは自分の耳を疑ったわ。だって、これまでイングリド先生には叱られっぱなしだったし、ましてあの、かなりいい加減に書いたあたしの図鑑を見られたんだもの。
あの図鑑を見たと先生に言われたとき、てっきり、先生が眼をこうつり上げて、「あなたって人は、どうしてもっとまじめに研究ができないのです!?」と叱ると思ったのよ。
それが、かなり上位の素材まで研究していると誉められたうえ、校長先生までがあたしに感心したと言うのよ!
うん、シアがそう言ってくれるのはありがたいし、あたしだって、自分のできる限りのことはしたという自信はあるのよ。ただ、こんなことなら、もうちょっと格式の高い文章であれを書けばよかったって思うの。
え、それはちょっと無理かもしれないって? シアぁ、そんなこと言わないでよぉ。
でね、校長先生があたしに、「マイスタークラス」という研究室に入ることを勧めてくれたの。アカデミー最高峰の研究室なんですって。
あたし、そんなものがあるってことを知らなかったって先生に言ったら、「あなた、今まで何をしていたの?」ってあきれられたわ。でも仕方ないわよね、実際あたしなんかにはそんなすごい研究室なんて縁のないところのはずだったんだし。
それで、先生が研究室に案内してくれたのよ。研究生たちとの顔合わせと、部屋の場所を覚えるためにね。
で、先生が部屋のドアを開けたとき、あたしは不意打ちを食らったのよ。
...え、何があったかわかるような気がするって?
...その通りよ、シア。最初にあたしが見たマイスタークラスの研究生はクライスだったのよ!!
うん、確かにね、あいつはずっと首席で通っていたんだし、3年前に卒業してからもアカデミーに残って研究を続けているようだったから、マイスタークラスのことを聞いたときにこのことを思いついても良さそうなものだったのよ。
そうね、前に「引っ越しをするから生きてるホウキを作ってくれ」と頼まれたときに「選ばれた人間だけが入れる宿舎に引っ越すのです」とか、得意そうに言ってたものね。あれはこのことだったのね。
それはともかく、今日来ていた研究生たちにあいさつをした後、クライスに、
「明日からはあなたが私の後輩になるわけですね。そんなことはまずあり得ない、いや、あまり起こりそうにないと思っていましたけれどね。ともかく、これからは先輩として、びしびししごいてさしあげますから、覚悟していてくださいね」
なーんて、いかにも嬉しそうな顔で言われたのよ! うっとうしいったらありゃしないわ。
なによシア、なんで笑ってるの? 「クライスさんも喜んでるのよ、きっと」...?
...まあ、そう見えないこともなかったけど、それにしてもひねくれた奴よね、あいつは。まあいいわ。あたしだって、ひとりでも知っている人間がいるほうがやりやすいしね。
さーて、明日からも頑張らなくっちゃね! で、今日のところは飛翔亭に行って楽しく過ごしましょう、って、え、冒険者のみんながあたしの卒業パーティの準備をしてくれているの!? それなら早く行かなきゃ!!
...でも、もしもあたしが卒業できなかったらどうするつもりだったのかしらね?
みんな、「絶対、留年はない!」って言ってた? みんな、あたしの実力を認めてくれているって?
...もう、何だか泣けてくるなぁ。あたしは助けてもらいっぱなしだったのに、そう言ってもらえるなんて。
うん、そうね。ここで感激している場合じゃないわ。今夜は、思いっきり騒ごう!!
-Fin-
*あとがき*
マルローネが、試験結果を聞きに行ったあと、工房で待っていたシアに結果を報告するという場面。マイスターランク進学EDが元です。
それにしても、私の書くマリーは、どうもマリーらしくないような...(汗)。私に言わせれば、主人公キャラはプレイヤーの分身として動くから、どうしてもプレイヤーの性格が出てしまうと思うけれど。...じゃ、私の性格って?